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分解レポート

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まずは、告知から入ります。

真夏の分解ワークショップ 名古屋編 開催します。!!
(9月4日は京都でやります。!)


●日時 8月20日(土) 12:30~17:00 (受付け開始12:00~)
●場所 学校法人中西学園 NSCカレッジ 名古屋ファッション専門学校
〒460-0007 名古屋市中区新栄1-9-6
●会費 3,000円(学生は1,500円)
●持ち物 筆記用具、マスク、ハサミ・リッパー・カッター・しつけ糸など持参頂けると助かります。
●申し込み先 rive00129(AT)gmail.com  (AT)を@に変えて、フルネームと所属先を記載の上送信して下さい。

と、いうわけで、今回は、7月31日に行われた分解ワークショップ東京編のレポートになります。


無事に満員御礼となりました今ワークショップ。
暑い中、ご参加頂いた皆さま、本当にありがとう御座いました。

予想外?に参加者は男性よりも女性の方が多く、応募いただいた業種もパタンナー・デザイナー・テーラー・縫製工場勤務・古着屋勤務・学生・建築家・コンサルティング・エンジニアと個性豊か面々に恵まれました。 
こんなマニアックなワークショップへ異業種の方達から参加頂けたのが、とても嬉しく感じました。
旧き衣服の持つ魅力に性別・業種・年齢は関係ないのですね。

さて、そんな興味深い方々と行った分解ワークショップ。 当日の様子はと云うと・・・?


まずは、5つのグールプに分かれ、私のVintageコレクションの中から、ひとチームづつ好きな1着を選んで、左半分を分解して頂くという形式をとりました。

今回、用意したコレクションのメインは1860年~1920年代の様々なジャケット・コートで、一番旧いもので18世紀後期のものを忍ばせておきました。フロックコートが誕生する前の衣服です。

1着1着、全てに想い入れのあるコレクション達です。
パッションのみで買ったディナージャケット。信頼関係だけで譲り受けたベルジャル。土下座して泣いたハッキング・・・
そんなコレクション達にハサミが入る瞬間は、心苦しいものがありました。

しかし、これも次への第一歩です。


各グループ、まずは古着の考察から入ります。

まず、年代やバックホーンを仮定し、想像力を膨らませます。
お尻に付いてるポケットや、肩にある切込みなど、現代では見ることの無いディテールにも各々仮説を立て、分解しながら検証していきます。
分解する前には、各ポイントにしつけ糸をして、型紙へのアプローチも怠りません。その辺はベテランパタンナーのお姉さま方が丁寧にやってくれました。有難いです。

そして、いよいよ、古着が 真っ二つ にされていきます・・・
さよなら大好きな人


皆さん、初めは、オロオロ遠慮していましたが、一度ハサミが入ると、大胆に分解されていきました。 分解は惰性です。

ちなみに上記画像のコート。実はこのアイテムなんです。 
今、東京でそれなりのレベルで買おうとすると10万円はします。(20万円のも見ました)

その他のアイテムも古着屋に行っても滅多に出会うことが無い、希少価値の高いものばかりです。
が、真っ二つ にして頂きました。 ありがとう御座います。


上記画像のタッターソールの裏地。 そして衿の八刺し。
これだけで、どんなものか、イギリス好きの方はスグに解りますよね。

ご存じ「ハッキングジャケット」です。

このハッキングジャケット、一見するとラウンジスーツと姿形があまり変わらないように思えるのですが、背負う歴史が全く違う衣服なんです。

ハッキングジャケットは100年経とうが、仕立てが全く変わっていません。
しかし、ラウンジスーツは顕著に仕立ての違いが現れます。

何故、その差が生まれたのか。?
そんなことを考える時間が、人生を豊かにしてくれます。


そして、こちらの上記画像は、非常に珍しい「カントリーワイズテイルコート」も少しずつバラされていきます。
正直、残りの人生で、このアイテムに後何回出会えるのか・・・そんなレベルです。

このアイテムの説明をしますと、紳士服の歴史では避けては通れない人物、ボーブランメルやカントリージェントルマン達が着ていた(参考にした)衣服です。

現代のテイルコートとは、全てが違います。このテイルコートは是非ともテーラーの方に見て頂きたい代物です。触るべきです。


また、ワークショップ内でも、議論になりましたが・・・

ジャケットの芯据えどちらに据えますか。?

え?
表 以外に答えあるの。???と、思われるのが普通ですが、私のコレクションを見ると、大半は裏に据えてあります。

これも、実際にワークショップに参加して頂いた方は、分解して納得。
当時の生地とクセ取りとフォルムの歴史に触れてみれば、自ずと答えが出てきます。


モーターサイクルコートの分解には、一苦労している様子でした。
生地の固さとゴム接着製法により、リッパーがひとつ天に召されました。


ディテールに注目すれば、見え隠れする歴史や文化。

ハッキングジャケットの袖口は二重でゴムが寄せて有ります。
現代のゴアテックスパーカーに見られるディテールと全く同じです。


皆さん、真剣な様子です。 盗さつ、撮影も捗ります。


~分解する女性は美しい~


皆さん初めましてで、いきなりグループになり、手を取り合い、古着を分解する。

ひと夏の、恋の始まりに如何でしょう。?


1時間半を過ぎた辺りで、この日は分解終了としました。
各グループ、テーブルに並べ、全員で研究成果をシェアします。


モーターサイクルの袖口の仕様に、討論が集中しました。ユニフォームとしての付属に付随する設計では?という考察には脱帽です。
また、リペア後からの環境予測に私は興味をそそられました。
素晴らしいプレゼンテーションです。


ハッキングジャケットは、このブ厚い生地を如何に薄く仕上げるか。
縫い代ひとつ取ってもアプローチが現代とは全く異なります。

芯の据え方も独特です・・・



平面に並べると、型紙の設計が見えてきます。

想像とは違ったラインを描いていたり。分解すればするほどに「?」が増えてゆきます。


所々に付いている豆札には、参加者の感動したポイントを記載して頂きました。
皆さん着眼点が異なり、興味深い結果となりました。


こちらのグループは、クンニョの考察を詳しく説明してくれました。

ちょうど、この服はダブルクンニョ
めちゃくちゃレアです・・・ しかし、この方達に分解して頂き、本当に良かったと思います。


というわけで、分解ワークショップ東京編のレポートは以上になります。

初めはマニアック過ぎて、人が集まるのか?不安でしたが、蓋を開けてみれば、非常に充実したワークショップとなりました。
貴重な出会いにも恵まれ、感謝の気持ちでいっぱいです。
参加者の皆さま、ご協力頂いたホルスの皆さま、本当にありがとう御座います。

そして、休む暇なく8月20日名古屋9月4日京都と巡回して参ります。
是非ともご参加下さい。! 価値ある体験を提供します。


また、10月15日からは、この成果発表を各都市で行いますので、そちらも楽しみにしていて下さい。
それに伴い現在、名古屋で貸しギャラリーを探しています。
11月に5日間くらい使用出来ればと考えています。もし、オススメありましたらご連絡をお願いします・・・!

お力添えを宜しくお願いします。

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